草のにおいは、子供の頃を思い出す。
ヨモギ、タンポポ、シロツメクサ、カラスノエンドウ、オオバコ、ハコベ。
欲するままに摘んでも、摘みきれない。
明日になれば、また 新しい芽が顔を出す。
摘みきれないことを 知った時、
自然の大きさに抱かれていることを知る。

アザミ、ツユクサ、ハハコグサ。
子供の、土を懸命にまさぐる手、
ややもすれば残酷な、
その手は 小さく、やわらかく、
汗が じっとりとにじんで
私の手に吸いつく。

今日も草摘みに行こう。